りさうですな、河竹《かはたけ》新《しん》七さんでも書きさうな狂言《きやうげん》だ、亀裂《ひゞ》皹《あかぎれ》を隠《かく》さう為《た》めに亭主《ていしゆ》は熊《くま》の膏薬売《かうやくう》り、イヤもう何処《どこ》で何《ど》う云《い》ふ方《かた》にお目にかゝるか知れません。いくらか遣《や》らうとしたが小出《こだ》しの財布《さいふ》にお銭《あし》がありませんから紺縮緬《こんちりめん》の胴巻《どうまき》の中から出したは三|両《りやう》、○「お内儀《かみ》さんまことに失礼《しつれい》でございますが、何《なに》かお土産《みやげ》と云《い》つた処《ところ》で斯《か》う云《い》ふ仕儀《しぎ》でございますから、御主人《ごしゆじん》がお帰《かへ》りになつたら一口《ひとくち》何《ど》うぞ上《あ》げて下さいまし。女「すみませんねこんな御心配をなすつては、あなたお酒《さけ》は上《あが》りますか。○「些《すこ》し位《ぐらゐ》はいたゞきます。女「こゝは田舎《ゐなか》でいやな香《か》がありますが玉子酒《たまござけ》にするとその香《か》を消すさうでございます、それに暖《あたゝま》つて宜《よ》うございます。燗鍋《かんなべ
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