《に》げようとしたが毒がまはつて躯《からだ》が自由になりません。○「太い女だ、ひどい奴《やつ》があるもんだ、どうかしてもう一度|江戸《えど》の土《つち》を踏《ふ》み、女房《にようばう》子《こ》に会《あ》つて死にたいものだ、お祖師様《そしさま》の罰《ばち》でも当《あた》つたのかしら。逃《に》げ様《やう》として躯《からだ》を戸《と》に当《あ》てたから外《はづ》れると戸《と》と共《とも》に庭にころがり落ちたが、○「南無妙法蓮華経《なむめうほふれんげきやう》、妙法蓮華経《めうほふれんげきやう》。とお題目《だいもく》を唱《とな》へながら雪の中に這《は》ひました。その時つい気のついたは小《こ》むろ山《さん》から頂《いたゞ》いて来《き》た毒消《どくけし》の御封《ごふう》、これ幸《さいは》ひと懐中《ふところ》に手を入れましたが包《つゝ》みのまゝ口へ入《い》れて雪をつかんで入《い》れて呑《の》みましたが、毒消《どくけし》の御利益《ごりやく》か、いゝあんばいに躯《からだ》が利《き》いて来《き》ました、斯《か》うなると慾《よく》が出てまた上《あが》つて包《つゝみ》を斜《はす》に背負《せお》ひ道中差《だうちゆ
前へ
次へ
全15ページ中11ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング