くに》へ帰《かへ》るより仕方《しかた》がない。と云《い》ふと、お前《まへ》さんのやうな生地《いくぢ》のないものはない、預《あづ》けたものを預《あづ》からないと云《い》はれて、はいと云《い》つて帰《かへ》つて来《く》ると云《い》ふのは、何《ど》ういふ訳《わけ》です、殊《こと》に頭《あたま》へ疵《きず》を付《つ》けられて帰《かへ》つて来《く》るとは、余《あんま》り生地《いくぢ》が無《な》さ過《すぎ》る、そんな生地《いくぢ》のない人と連添《つれそ》つてゐるのは嫌《いや》だ、此子《このこ》はお前《まへ》さんの子《こ》だからお前さんが育てるが宜《い》い、私《わたし》はもつと気丈《きぢやう》な人のところへ縁付《かたづ》くから、といふ薄情《はくじやう》な言《い》ひ分《ぶん》、此女《このをんな》は国《くに》から連《つ》れて来《き》たのではない、江戸《えど》で持《も》つた女《をんな》か知れない、それは判然《はつきり》分《わか》らないが、何《なに》しろ薄情《はくじやう》の女《をんな》だから亭主《ていしゆ》を表《おもて》へ突《つ》き出す。男《をとこ》は怨《うら》めしさうに宅《うち》の方《はう》を睨《にら》ん
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