で、泣く/\向《むか》うへ行《ゆ》かうとすると、お父《とツ》つアんエーと云《い》つて女の子が追《お》つ掛《か》けて来《く》るから、どうかお母《つか》さんの処《ところ》へ帰《かへ》つてくれ、お父《とツ》つアんは無《な》いものと思つてくれと言ひ聞かせて、泣きながら帰《かへ》る子の後姿《うしろすがた》を見送り、あゝ口惜《くや》しい、二代目の多助《たすけ》といふ奴《やつ》は恐《おそ》ろしい奴《やつ》だ、親父《おやぢ》に金《かね》を預《あづ》けた事を知つてゐながら、預《あづ》かつた覚《おぼ》えはないと云《い》ふのは酷《ひど》い奴《やつ》だ、塩原《しほばら》の家《いへ》へ草を生《は》やさずに置くべきか、と云《い》つて吾妻橋《あづまばし》からドンブリと身を投げた。さうすると円朝《ゑんてう》さん、その死骸《しがい》が何《ど》ういふ潮時《しほどき》であつたか知らないが、流れ/\て塩原《しほばら》の前《まへ》の桟橋《さんばし》へ着いたさうだ。それを店《みせ》の小僧《こぞう》が見付《みつ》けて、土左衛門《どざゑもん》が着《つ》いてゐます土左衛門《どざゑもん》が着《つ》いてゐますと云《い》つて騒《さわ》ぐ。若
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