ない。決して預《あづ》かつた覚《おぼ》えはない、と云《い》ひ張《は》る。預《あづ》けた預《あづ》からないの争《あらそ》ひになつた処《ところ》が、出入《でい》りの車力《しやりき》や仕事師《しごとし》が多勢《おほぜい》集《あつま》つて来《き》て、此奴《こいつ》は騙取《かたり》に違《ちが》ひないと云《い》ふので、ポカ/\殴《なぐ》つて表《おもて》へ突出《つきだ》したが、証拠《しようこ》がないから表向訴《おもてむきうつた》へることが出来《でき》ない。頭《あたま》へ疵《きず》を付《つ》けられて泣く/\帰《かへ》つたが、国《くに》では田地《でぢ》を買ひ、木材《きざい》を伐《き》り出す約束をして、手金《てきん》まで打つてあるから、今更《いまさら》金《かね》が出来《でき》ないと云《い》つて帰《かへ》ることは出来《でき》ない。昔の人で了簡《れうけん》が狭《せま》いから、途方《とはう》に暮《く》れてすご/\と宅《うち》へ帰《かへ》り、女房《にようばう》に一伍一什《いちぶしじう》を話し、此上《このうへ》は夫婦別《ふうふわか》れをして、七歳《なゝつ》ばかりになる女の子を女房《にようばう》に預《あづ》けて、国《
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