は造作《ざうさ》もない事だ。といふのは梅廼屋《うめのや》は落語社会《らくごしやくわい》の寄合茶屋《よりあひぢやや》でございますから……「有難《ありがた》うございます、どうか御囘向《ごゑかう》を願ひます、又《また》参詣《おまゐり》を致《いた》します」と云《い》つて、それから直《すぐ》に浜町《はまちやう》一|丁目《ちやうめ》の花屋敷《はなやしき》の相鉄《あひてつ》といふ料理屋《ちやや》へ行《い》つて、お膳《ぜん》を誂《あつら》へ、家《うち》の車をやつて、此《こ》の車で直《すぐ》に来《き》てくれと云《い》つて梅廼屋《うめのや》を迎《むか》へにやりました。
梅廼屋《うめのや》は前にも申《まう》しました通《とほ》り、落語家《らくごか》一|統《とう》の寄合茶屋《よりあひぢやや》で、殊《こと》に当時《たうじ》私《わたくし》は落語家《らくごか》の頭取《とうどり》をして居《を》りましたから、為《ため》になるお客と思ひもしまいが、早速《さつそく》其車《そのくるま》で来《き》てくれました。「何《ど》うしたんです、何《なに》か急《きふ》の御用《ごよう》ですか」「いや、改《あらた》まつてお聞き申《まう》したい
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