きん》だ、よく見て覚《おぼ》えて置け。弥「へえー紫色《むらさきいろ》のいんきんだえ、あれは癢《かゆ》くつていけねえもんだ。長「何《なん》だ其様《そん》な尾籠《びろう》なことを云《い》つちやアなりませんよ、結構《けつこう》な御軸《おぢく》でございますと云《い》ふんだ、出して見せるか掛《か》けて見せるか知らんけれども掛《か》けて有《あ》つたら先《ま》づ辞儀《じぎ》をして、一|応《おう》拝見《はいけん》して、誠にどうもお仕立《したて》と申《まう》し、お落着《おちつき》のある流石《さすが》は松花堂《しようくわだう》はまた別でございます、あゝ結構《けつこう》な御品《おしな》で、斯様《かやう》なお道具《だうぐ》を拝見《はいけん》致《いた》すのは私共《わたくしども》の眼《め》の修業《しゆげふ》に相成《あひな》りますと云《い》つて、身《み》を卑下《ひげ》するんだ。弥「ひげするんなら、角《かど》の髪結床《かみゆひどこ》へ往《い》きやア直《ぢき》だ。長「髯《ひげ》を剃《する》んではない、吾身《わがみ》を卑《いや》しめるんだ、然《さ》うすると先方《むかう》では惚込《ほれこ》んだと思ふから、お引取《ひきとり》
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