「何故《なぜ》え。弥「づくにゆうでございますツて。長「然《さ》うぢやアねえ、軸《ぢく》に「にゆう」が有《あ》りますと云《い》ふのだ。弥「へえー。長「にゆうを知らんか、道具商《だうぐや》の御飯《おまんま》を喰《く》つてゝ「にゆう」を知らん奴《やつ》もねえもんだ。弥「アハヽヽ何《なん》の事《こつ》た。長「瑾《きず》が出来《でき》たと云《い》つては余《あんま》り素人染《しらうとじみ》るから、瑾《きず》を「にゆう」と云《い》ふが道具商《どうぐや》の通言《あたりまへ》だ。弥「へえ、始《はじ》めて聞いた。長「何《ど》うかすると、お客さまに腰《こし》の物《もの》を出されるかも知れねえ、然《さ》うしたら私《わたくし》は小道具《こだうぐ》の方《はう》とは違ひますゆゑ刀剣《たうけん》の類《るゐ》は流違《りうちが》ひでございますから心得《こゝろえ》ませんが、拝見《はいけん》だけ仰《おほ》せ付《つ》けられて下《くだ》さいましと云《い》つて、先《まづ》頭《かしら》から先《さき》へ眼《め》を附《つ》け、それから縁《ふち》を見て、目貫《めぬき》から何《ど》うも誠にお差《さし》ごろに、定《さだ》めし御中身《おなかみ》
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