心附《こゝろづ》きませんでした。客「ナニ是《これ》さへあれば大丈夫《だいぢやうぶ》。と行《い》つて了《しま》つた。妻「はー、私《わたし》は彼奴《あいつ》が取りに来《き》た時|恟《びつく》りしましたよ、だけれども未《ま》だ莨入《たばこいれ》を忘れて行《い》つたよ。主「だからよ、不思議《ふしぎ》ぢやねえか。客「おい御亭主《ごていしゆ》。主「おやお帰《かへ》りなさい。客「アノ今ね、田圃《たんぼ》へ出て一|服《ぷく》やらうと思つて気《き》が附《つ》いた、莨入《たばこいれ》を忘れて出かけたのを…………。主「ヘイ、成程《なるほど》、此品《このしな》で御座《ござ》いますか。客「ウム、是《これ》さへあれば大丈夫だ。主「ウフ……両掛《りやうがけ》と莨入《たばこいれ》を持《も》つて行《い》つても、肝心《かんじん》の胴巻《どうまき》を忘れて行《い》きやアがつた、何《なん》でも百|両《りやう》から有《あ》るやうだぜ、妻「何《ど》うも本当に奇妙《きめう》だね、主「おや又《また》帰《かへ》んなすつた。客「昨夜《ゆふべ》お前《まへ》さんに預《あづ》けた、アノ胴巻《どうまき》を出《だ》して呉《く》んな。主「はい/\此
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