然るに或る處に於て其地層が引つ繰返つて居る。何かと言ふと、それは地震の爲めだと言ふのです。歴史も其通りで歴史の斷面を取つて見ると、西洋も日本も皆共通で、第一は奴隷經濟、第二は土地經濟、第三は貨幣經濟、貨幣經濟の中から、經濟機構が生れて來て、座(ギルド)と云ふものが生れる、同じことである。唯其間に政治上の革命や外國との關係で一種の變動は來て居りますが、歴史の斷面と云ふものは、略※[#二の字点、1−2−22]相似たものであります。
 それから歐羅巴では八世紀の中頃即ち七百二十年頃東ローマのレオ・イソーリアンと云ふ法王が偶像を禁止する法令を發して、他宗を皆悉く滅してしまふと云ふ運動を起した。所謂宗教の規格統一で、スタンダルゼーシヨンをやつた。それから色々殘酷なことが行はれて來ました。然るに日本では略※[#二の字点、1−2−22]同時代に行基と云ふ坊さんが出て來た、是は非常な博學で、偉い人であつた。其頃坊さんは皆朝廷に仕へて紫の着物を着たり爵位を貰つたりして威張つて居つたが、行基だけは朝廷に仕へない。木の下、山の中、野の端を勸化して歩いて佛法を説いて廻つた。是が神佛混淆と云ふことを考へた。佛樣
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