から税を取ることはならぬ、一切自由と云ふことを要求して、是は又權力者が之を認めたのです。さうすると山崎の神主も男ばかりでなく、細君もあり子供もあるから段々子供が殖える、子供が殖えると山崎の家に居られませぬから、それが京都へ移つて町人となる。町人となると此荏の油の特許權は山崎の神主が持つて居るのであるから、神主の體から出た子供の體にも特許權がある筈だと云ふので、京都へばら/\散つて居る其神主の子供の體に荏の油の特許權がついて、京都に於ては此座の外は油を賣ることはならぬことになつた。それから小野宮の神主と云ふものが又麹と云ふものは小野の神樣へ仕ふるものが元であるから、麹の特許權は小野の神主が持つて、其小野の神主の體から生れた子供は京都へ行つても特許權を持つて居ると云ふやうなことで、京都で色々な座が澤山さう云ふ風に出來て來た。それは上から出たのですが、下から出たのもある。そこでさう云ふやうなものが政府からも許され、仕來りにも據る座と云ふものが出來て、座でなければ商賣が出來ないと云ふことになつた。歐洲の自治體と云ふものは何かと言ふと、皆座の商人が自治體の中心でありまして、即ち自治體と云ふものは
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