奴隷經濟、次は土地經濟、其次は貨幣經濟になる。即ち何處の國を見ても第一奴隷經濟、第二は土地經濟、第三は貨幣經濟と言ふ順序になつて居る。是は世界共通何處の國でも其例を外れるものはないのです。日本獨り此例に外れることはない。皆西洋の歴史と同じことなのです。勿論人間は皆二つの目、一つの口、鼻、二つの耳、是は決まり切つて居るが、其人の血液の工合で色々顏の形が變つて來る。人の備ふべき機關は同じことであるが、それが集つて顏になるときには千萬人悉く違つた顏をするやうに、各國共に歴史の過程は同じことであり、起源も同じことであるが、其現れ方は別々になつて來る。だから各國共通と言つても同一とはいかない。江南の橘は江北に行けば枸橘となると云ふやうなもので、其土地に依つて形は變つて來るが原則は同じことである。然るに西洋人は日本が各國共通の過程を經て來たものであると云ふことを知らないで、突然日本へ來て此半開國が五十年の間に近世國日本になつたのは不思議だと思つて、どうも此疑問は解釋出來ぬと云ふが少しも解釋の出來ぬことはない。此通り西洋各國と同じことを經て來たのです。
そこでもう一つ同じことを申すが、此莊園の中か
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