唯畑や田圃にずつと連絡したものでありましたが、其莊園には役人が居り、支配人が居る。租税を取つたり何かするのには役人が要る。澤山の人が集まると泥棒も出て來ると云ふので、泥棒を防いだり租税の監督をしたりする爲に先づ郡役所と云ふやうなものが自然莊園に出來る。持主は京都に居る。唯出先の支配人が居る役所が出來る。其役所で自然に泥棒を防ぐ爲に、或は官吏が威張る爲に、段々一種の地方政府見たいなものが其處に出來て來る。さうすると地方政府の役人に奉仕する爲に小間物屋も出來れば機屋も出來ると云ふ譯で一種の町が出來る。さうすると其處に經濟上の中心が出來て來て、唯莊園から鷹の羽を取るだけでは詰らぬ。米、味噌を取るだけでは詰らぬ、物を買ふと云ふ必要が出て來て、貨幣制度が其處にやつと成立つて來て、どん/″\貨幣で物を買ふと云ふことになつて來て、莊園が貨幣制度の發祥地になつて來た。茲に於てか今までは天下の土地は澤山あつたが莊園に分割してしまつて餘分はないのである。誰でも取れると云ふ土地はなくなつて來たから、今度は其貨幣を澤山持つて居る人が勢力があると云ふことになり、是に於てか貨幣制度が出來て來たのです。此通り最初は
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