の役人は之を見て神社とお寺の眞似をしようと云ふので、或る土地を區劃して之に莊園と名付けて、是は自分の別莊であり必要な土地である。之を神社やお寺の持つて居る土地と同樣の取扱をして戴きたいと云ふことを朝廷に希望するのです。所が朝廷と言つても貴族が作つて居る朝廷ですから、有力な貴族が願へば直ぐ判を捺して許すと云ふことになり、どん/\莊園が出て來て、到る所に莊園が盛になつて來た。今の近衞總理大臣の先祖の近衞家と云ふものは九州に於て日向、薩摩、大隅と云ふ三つの國を莊園に持つて居つた。島津と云ふものは其莊園のマネージヤーに過ぎなかつたのです。それで近衞家はどう云ふ收入を得るかと云ふと、其處から毎年金を一包、鷹の羽を二十枚、鷹の羽は弓に使ふのです。馬を何匹と云ふ位の收入を得てそれだけの土地を持つて居る。其實際の利益は誰が持つかと云ふと其莊園を管理して居る人間が利益をして居る。さう云ふ譯であるから莊園と云ふものは大變都合の好いものである。相競うて莊園をどん/\拵へる。貴族の妾までも莊園を持つと云ふことになり、どん/″\莊園は許された。其結果はどうなつたかと云ふと――國家の持つて居つて地方官が租税を取り
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