のち》を助かって
都へ帰る十三人
生命《いのち》の代りに首からかけた
壺は青壺瀬戸物壺よ
中に溜るは助かる生命《いのち》
うれしうれしの喜び涙
又は父《とと》様|母《はは》様恋し
兄《あに》様姉様|妹《いもうと》弟
恋し恋しのなげきの涙
又はこの歌きく人々の
清い尊い情の涙
たまりたまった行く末は
遠く遠くの都まで
やがて帰ったその時に
土産にするもの一つ
汲んで尽きせぬ人間の
涙を湛えた青い壺
ほんに私の生命《いのち》の壺よ
大切《だいじ》な大切な青い壺
空を行く日よ野を吹く風よ
心して照れ心して吹け
壺に溜った生命《いのち》の泉
清い涙を乾かすな
[#ここで字下げ終わり]
これを聞いた人々は皆、涙を流して気の毒がって、子供達の胸にかけた壺の中に喰べ物やお金を入れてくれた。小僧は見えかくれにそのあとに従いて行って、自分は木の実を千切ったり、掃《は》き溜《だ》めを漁ったりして喰べて行った。
五
都へ帰る途中に大きな森があった。そこへ来ると一匹の鳶《とび》が来て、小僧に大変な事を知らせた。
「早くどこかへ隠れなければ危ないよ。三人の悪者が弓と矢を持って、お前達を
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