追っかけて来るよ」
小僧はこれを聞くと、その三人の悪者はこの間の生き肝取りに違いないと思った。そして、「最早《もはや》今度は勘弁しないぞ」と思いながら、子供達を皆木の上に隠して、自分は直ぐに近所の村に行って何か探しまわった。見ると只《と》ある小径を横切って沢山の蟻が行列を立てて行くから、
「どこに行くのか」
と聞くと、一匹の大きな蟻が頭を上げて、
「砂糖を取りに行くのです」
と答えた。
「俺も砂糖を探しているのだ。何なら仕事を手伝ってやろう。その代り山分けにしてくれなければ嫌だ」
「どうぞ手伝って下さい。あまり沢山あって運び切れないので困っているのです。砂糖は向うの広場に落ちております。大方《おおかた》砂糖車から零《こぼ》れたのでしょう」
小僧はそこへ行って見ると、成る程沢山の砂糖が散らばって落ちていた。それを掃き集めてその半分を蟻の穴の傍へ持って行ってやると、蟻共はもうこれだけで穴に這入り切らないと云って喜んだ。小僧はあとの半分を持って引っ返して、森の奥深く這入って行った。
やがて生き肝取りの悪者三人がやって来ると、小僧は往来の真中へ飛出して大きな声で笑った。
「ヤーイ。又
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