の大多數は、しかし、救助された。
 五日にパリを出た人の話。――
 午前三時半頃、最初の警笛《アレルト》が市民の眠を驚かした。皆ガス・マスクの袋を提げ、懷中電燈を持つて、地下窖《アブリ》へ逃げ込んだ。アレルトはどんな音かと開くと、非常に低い調子で、非常に鈍い高低で、とても陰氣で、聞いただけでも陰慘な氣持になる。それにアブリの中は暗くて臭くて、あんな所に何時間も閉ぢ込められたら氣がちがつてしまふ。と、その人は眉をしかめて話した。
 それで飛行機は本統に來たのかと聞くと、初めは敵の空襲だとばかり思つてゐたし、みんなもさういつてゐたのだが、よくわからなかつた。ドイツの偵察機が國境を越えたぐらゐの事かも知れない。或ひは豫行演習だつたのかも知れない。いづれにしても不愉快なものだ。といつてゐた。
 ロンドンでは四日の未明に最初のサイレンが市民の夢を驚かしたといふことだ。
 イギリスの飛行機がキールの軍港を爆撃したといふ報道がフランスの新聞で傳へられた。
 六日にパリを出た人の話。――
 此の日も朝の三時過にアレルトがパリの空に鳴り響いた。また豫行演習だつたのだらうといふと、高射砲の音がさかんに聞こ
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