。しかし、ラディオは逸早く政府によつて統制され、新聞も同樣に統制され、(共産黨の機關紙は八月にはすでに發行を停止され)、毎日紙上に發見し得る戰爭の報道といつては、いつも同じやうに第一面の約半分の面積を埋める西部戰線の地圖と、讀んでも讀まなくても同じやうな二三行のコンミュニケのみだつた。外交官であり作家であるヂロードー氏が宜傳相になつたといふのに、そのコンミュニケは、見方によつては要領のよいものともいへるが、要領がよすぎてつまらないことおびただしかつた。ボルドーで手に入る唯一のおもしろい新聞といへば『デイリ・メイル』くらゐなもので、それもサン・ヂャンの停車場まで一日おくれのを買ひに行かねばならなかつたが、それとてもフランス官憲の統制の下に賣られるのだから、知りたいと思ふことが十分に知られないのはもちろんだつた。
 つまり、私たちは戰爭の國にゐながら戰爭のことはあまり多く知ることはできなかつたのである。
 けれども、戰爭をしてる國民の志向と感情と行動の現れだけは目《ま》のあたり觀察することができた。殊に何よりもフランスの心臟ともいふべきパリの市民の鼓動は、私たちの後《あと》から毎日次次にボ
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