は火葬の習慣を持っていた。ところが更に七百年ほど経過すると、鉄器で武装した新しい民族がアルプスを越えて南下し、初めはポーの流域に集結したが、次第に南進して、ウンブリアからアペニンを越えてテベレの東方一帯の地に定住した。エトルスクスもしくはラゼナと呼ばれる民族で、もとはリュディアから出て、ペラスギと呼ばれるものと同種族だと認められている。その植民地域が謂わゆるエトルリアで、ローマはその最南端になっていた。最後にローマに現れたのは紀元前八世紀の中頃で、それまでは小さい部落が到る所の丘陵に割拠して、まだ政治的集結を成していなかった。
 伝説では、パラティーノを本拠としていたロムルスの一党が、或る日、近隣の丘陵を襲って、サビーニ(サビヌス)族の女たちを奪って来たのが事の始まりで、それから付近の丘陵の併合となった。サビーニ族というのはイタリアの中部地方に古代から定住していた種族で、それが南下してクィリナーレ、ヴィミナーレ等の山に居住していた。その時、今のフォーロ・ロマーノの谷は恐ろしい女の叫び声と接吻の音で充たされたといわれる。
 史的に考えると、ロムルスの種族はまずパラティーノの山の聚落を統一
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