あったものだろうが、今はカトリクの様式になってるのは、八世紀頃からしばらく此の宮殿が修道院に使用されていたためだろう。バジリカ(法廷)は皇帝が護民官を半円形に列ばせて、訴訟当事者に判決を与えた状態が実感されるように遺っている。しかし、装飾を奪われてることはいうまでもない。礼拝堂とバジリカの下にはそれぞれ地下室があるけれども、なぜだか公開されてない。バジリカの下の部屋にはアウグストゥス時代のすばらしい壁画が残ってるということだが、見せないとなると一層見たくなる。
南側の中央は大食堂で、色さまざまの大理石や※[#「王+分」、第3水準1−87−86]岩の敷石の破片があったということだが、今は見られない。大食堂の両側はニムフェウムと呼ばれる浴室で、楕円形の大きな噴水盤が西側の部屋だけに残っている。その部屋には美しいモザイクの床も割合によく保存されている。珍らしく感じたのは、その部屋の外側に二千年前の汲み上げポンプの軸棒[#「軸棒」は底本では「軸捧」]が残ってることで、深さ約三六米あるそうだが、周りに鉄柵を繞らして手を触れさせないように大事に防護してあった。
なおその先に別棟になって二つの部
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