?」
とレミヤ[#「レミヤ」は太字]に尋ねた事も一度や二度ではなかったそうです。けれどもレミヤ[#「レミヤ」は太字]はいつも顔を真赤にして、
「どちらでも貴方がたのお好きな方を……妾《わたし》にはわかりませんから……」
と答えたそうですが、これはレミヤ[#「レミヤ」は太字]の云うのが本当で、そんな下らない事をきく両親の方が間違っております。私と弟のドチラがいいかという事は神様でもきめる事が出来ないのですから……。
けれども、そこが老人の愚痴っぽさというもので御座いましょうか。叔父夫婦は、それから後というもの考えれば考える程、娘の婿として適当な人間は私達二人以外にないようにシミジミと思われて来るのでした。申すまでもなく叔父達夫婦のそうした気持ちの中には、今までに手を尽して探しあぐんだ苦労づかれも交じっていたろうと思われるのですが、せめてドチラかに鵜《う》の毛で突いた程でもいいから欠点がありはしまいか。あったらそれを云い立てに、片っ方を落第させてやろうというので、私達兄弟の事を念入りに探らせてみたのですが、探らせれば探らせるほどその報告がコンガラガッてしまって、ドチラがドウなのかサッ
前へ
次へ
全54ページ中24ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
夢野 久作 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング