なくも
エジプトの 御代を知りつゝ
神々の まもりうけつゝ
此の広き 山と河にも
おもしろく をかしき事を
何一つ 見出でぬまゝに
老い行きて 死に果てむ身か」
御涙 ハラ/\と落ち
ほのぼのと 夜は明けわたる」
折しまれ あなめづらしや
女王様《わがきみ》の 御声として
カヤ/\と 笑はせ給ふ」
わが女王《きみ》の 御閨《みねや》ぬちに
いづくより 迷ひ入りけむ
一匹の 髪切虫を
かしこくも 捕はせ給ひ
此上《こよ》もなく 興がらせつゝ
黄金《こがね》にも たとへ難かる
御髪《おんぐし》を あたへ給ひて
啄《つい》ばませ 喰《は》ませ給ひて
カヤ/\と 笑はせ給ふ」
あなをかし 髪切虫よ
おもしろの 髪切虫よ[#底本では、この「髪切虫よ」だけ1字上がっている]
いつまでも
前へ
次へ
全11ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
夢野 久作 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング