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探偵小説の神秘は究極するところ、神秘であってはいけないと思う。[#ここから横組み]2÷2=1[#ここで横組み終わり]であり[#ここから横組み]2×2=4[#ここで横組み終わり]でなければ結局感心出来ない事になるようである。
[#ここから横組み]1=X/X[#「X/X」は分数]=1×1=0/0[#「0/0」は分数]=8÷8[#ここで横組み終わり]なんていうのを使うのは大抵素人に限るようである。
[#ここから横組み]√(−1)[#ここで横組み終わり]を使う時、本格探偵小説の価値は0となるか、又は性質を変じてノンセンス、ユーマー、怪奇小説の類に堕するようである。
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作者が一度読んだものを有意識にも、無意識にも真似たものは、ドンナニ口ざわりがよくても味が落ちるから直ぐにわかる。
必ず自分の井戸から汲んだ水でなければイケナイようである。他所の井戸水で作った酒は決して酔わない。酔えば悪酔いをする。
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今まではトリック即興味と思っていた。スリル即話術とも考えていたが、これは違うようである。笑われても仕方がない。
全篇のストーリーを一挙に真実化
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