を場内一面に横溢させている。
「皆、俺の前に一列に並べ。早く並べ……何をしとるか。倒れとる奴は引摺り起せ」
 声に応じて二三人の負傷兵が寄り集まって、長くなっている仲間を抱き上げようとしたが結局、無駄であった。正体のなくなっている酔漢と同様にグタグタとなって何度も何度も戦友の腕から辷り落ちるのであった。真実に気絶しているらしいので、凍死しては不可《いけ》ないと思って、私が近附いて行こうとするのを大佐が押止めた。
「……放っとき給え……ほっときたまえ……凍死する奴は勝手に凍死させておけ。そんな者はいいから早く並べ。……ヨオシ……皆、気を附け……整頓……番号……」
「二、三、四……八十……八十一ッ……」
「八十一か……」
「ハイ。八十一名であります」
 最後尾に居るポーエル候補生が真正面を向いたまま答えた。
「よろしい。寝ている奴が三人と……合計八十四名だな」
「そうであります」
 今度は候補生の一つ前に居る中年の軍曹が答えた。ピストルで腕を撃たれている男だ。肩から白い繃帯と副木で綿に包まれた腕を釣っているのがこの場合、恐ろしく贅沢なものに見える。
「……よろしい……」
 軍医大佐が又も咳
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