戦場
夢野久作
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)埃及《エジプト》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)ヴェルダンの後方十|基米《キロ》の処に在る
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)顳※[#「需+頁」、第3水準1−94−6]《こめかみ》
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はしがき
この一文は目下、埃及《エジプト》のカイロ市で外科病院を開業している芬蘭《ポーランド》[#「芬蘭」はママ]生まれの独逸《ドイツ》医学博士、仏蘭西《フランス》文学博士オルクス・クラデル氏が筆者に送ってくれた論文?「戦争の裡面」中の、戦場描写の部分である。原文は同氏の手記に係る独逸語であるが、今まで世界のどこにも発表されたことのない、珍らしいものである。
当時、中欧最強の新興国として、現在の日本と同じように、全世界の砲門を睨《にら》み返していた彼《か》のモノスゴイ独逸魂の、血潮したたる生々しい断面を、この一文によって読者諸君は眼《ま》のあたり見る事が出来るであろう。
オルクス・クラデル氏は、欧洲大戦終了後、一時長崎の某外科病院(日本人経営)に傭《やと
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