らの同志四人はモウ先刻《さっき》、停車場で挙げられている。だからジタバタしたって駄目だぞ。貴様が門司から直方へ乗りつけたタクシーの番号までわかっているとは知らなかったろう」
「どうもありがとう御座いましたわねえ。ホホ。ちょうど御通知の番号の車で、この青年《しと》が見えましたから気をつけてお話を聞いておりますと、ポートサイドあたりへいらっした方にしては、すこし色が白過ぎるんですものねえ。ホホ。さもなければ、妾は見事に一パイ引っかかっていたかも知れませんわ。トテモそんな方とは見えなかったんですからねえ」
「ハイ。恐れ入ります。それから間もなく倉庫主任宛のお電話が警察《こちら》にかかって参りましたのでスッカリ安心して手配してしまったのです。手配がすんだ証拠に、お山全体の電灯にスイッチを入れると申し上げて置きましたが、おわかりになりましたか」
「ええ。今消させて直ぐ自動車でコチラへ参りましたのよ。ちょっとこの青年《かた》へいって置きたいことが御座いましたもんですから……」
「……あ……そうですか。それじゃ。……只今なら構いませんから……何なりと……」
 四人の刑事は眼くばせをし合ってゾロゾロと
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