小さな眼をキラキラ光らして声を落した。
「……エエカ。こいつが曝露《ばれ》たら署員《ぶか》が承知せん話じゃがな……姉歯という奴は早川よりも上手《うわて》の悪玉なんだ。エエカ……早川をそそのかして、女を膨《ふく》らましては自分で引き受けて、相手の親から金を絞るのを、片手間の商売にしとるんだ。つまり手切金と、堕胎料と、二重に取って、早川にはイクラも廻わさないらしいのだ。僕の管轄でもかなりの被害者があると見えて、時々猛烈な事を書いた投書が来る」
「ありがとう、それで何もかもわかった。ヨシ子が駄々をこねて、単身《ひとり》で佐賀へ行きかけたのは、どうも少々オカシイと思ったが……そこいらの消息を薄々感付いたんだナ」
「ウン。それに違いないのだ。ちょうど姉歯早川組の奸計《かんけい》と、両親の勘当《かんどう》とで、板挟みになって死んだ訳だナ」
「書きてえナア畜生……夕刊に……大受けに受けるんだがナア……」
「イカンイカン。まだ絶対に新聞に書いちゃいかん」
「アハハハハハ書きゃしないよ。……しかし君等はナゼ姉歯をフン縛らない」
 大塚警部は苦笑した。二三本|白髪《しらが》の交《まじ》った赤い鬚を、自烈度
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