笑《おか》しかったぞ」
「うん。仁三郎の指は、平生でも大きい上に、腫れ上っとるけに指輪《いびがね》も三十五円も出いて○○の鉢巻位の奴をば作っとる。それに花嫁御の分は亦《また》、並外れて小さいけに取り換えてもアパアパどころじゃない。俺あ、それば見て考えよると可笑《おか》しゅうて可笑《おか》しゅうてビッショリ汗かいた」
「誰か知らんが、その後の御詠歌のところで大きな声でアクビしたぞ」
「あれは俺たい。あの御詠歌の文句ばっかりは判らんじゃった。恵比須《えべす》様が味噌漉《みそこし》でテンプラをば、すくうて天井へ上げようとした。死ぬる迄可愛がろうとしたバッテン天婦羅《てんぷら》が天井へ行かんちうて逃げた……なんて聞けば聞く程馬鹿らしいけに俺がそうっとアクビしたところがそいつが寝ている篠崎に伝染《うつ》って、これもそうっとアクビしたけに、俺《おら》あ良《い》い事したと思うた。病人も嘸《さぞ》アクビしたかったろうと思うてな――」
「何時間かかったろうかい」
「俺あ時計バッカリ見よった、二時間と五分かかったが、その最後《しまい》の五分間の長かった事。停車場で一時間汽車ば待っとる位長かった」
「うん。
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