上を這いまわって笑い転げた。流石《さすが》の謹厳な八代大将も総|義歯《いれば》をハメ直しハメ直し鼻汁《はな》と涙を拭い敢えず、苦り切ってシキリに汗を拭いていた武谷博士も、とうとう落城してニヤリとしたのが運の尽き。しまいにはアンマリ笑い過ぎて眼鏡の玉の片方をなくする始末。その中《うち》にタッタ一人林技師が如何にも不満そうにグビリグビリと手酌でやっているのを見た人の悪い令兄が、
「オイ。駒生。何とか註釈を入れんか」
と嘲弄したが、林技師が額の生汗《なまあせ》を拭いて坐り直した。
「ハイ。註釈の限りではありません」
と云ったので満座又絶倒……。
(下)
かくして篠崎仁三郎の名は、次第次第に博多ッ子の代表として、花川戸の助六や、一心太助の江戸ッ子に於けるソレよりも遥かにユーモラスな、禅味、俳味を帯びた意味で高まって行った。
どんな紛争事件《もめごと》でも仁三郎が呼ばれて行くと間違いなく大笑いに終らせる。しかも女出入り。金銭出入《かねでいり》。縄張りの顔立てなぞに到るまで、決して相手を高飛車にキメ附けるような侠客《きょうかく》式の肌合いを見せない。そうかといって下手《し
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