ら見ておりましたが……」
「……ああ……ああ……もうソノ話やめて……あたしゃ……あたしゃ死ぬるッ……」
「それから夫婦とも波の上で長うなって夜を明かしますと又、勇ましく潮を吹いて、鰯の群を逐《お》いかけ逐いかけサムカッタの方へ旅立って行きます」
「サムカッタじゃない。カムサッカだろう」
「あっ。そうそう。何でも寒い処と思いました。ヒョットすると鯨の若夫婦が云うたのかも知れません。ネエちょいと……昨夜《ゆんべ》はカムサッカねえ……とか何とか……」
「馬鹿にするな」
「そこで感心するのは今のマクラ魚です。若夫婦の新婚の夜が明けますとコイツが忽ち大活躍を始めますので、若夫婦の身のまわりにザラザラした身体《からだ》をコスリ付けて、スッカリ大掃除をしながら、アトから跟《つ》いて行きます、つまるところこのマクラ魚という奴は鯨の新婚旅行が専門に生れ付いた魚で、枕になってやったり後《あと》の掃除をしてやったりしながら、カムサッカでもベンガラ海でもアネサン島の涯《はて》までも、トコ厭《いと》やせぬという……新婚旅行のお供がシンカラ好きな魚らしいですなあ」
 爆笑。又爆笑。狂笑。又死笑。皆、頭を抱え、畳の
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