ころじゃ。貴公の流儀を一つ説明してみい」
「説明もヘッタクレもあれあせん。雨の降る日に傘さいて跣足《はだし》で歩きまわれば、それで結構……そこで『オオ寒む』とか何とか云うてこの中鯛で一杯飲んでみなさい。明日《あした》死んでも思い残す事あない」
「アハハハ。賛成賛成」
武谷博士が妙な顔をした。蓋《けだし》、同博士は同大学切っての謹厳剛直の士で、何事に限らず科学的に説明の出来ないものは一毫も相容れない性分であったので、八代大将の松葉喰いの話で少々お冠《かんむり》を曲げて御座るところへ、湊屋一流の無学文盲論が舞込んで来たのでまさか議論の相手にもならず、ますます御機嫌が傾いた次第であった。しかし湊屋仁三郎は博士であろうが元帥《げんすい》であろうが驚ろかなかった。サッサと裏へ廻って足を洗って上って来た。
「ヘエ。皆さん。今晩は……今台所の婆さんに洗わせよる、昨夜《ゆんべ》まで玄海沖で泳ぎよった魚じゃけに、洗いに作らせといた」
「ちょうど今長生きの話が出とるところじゃったが、ええところへ来た。貴公なんぞは長生きの大将と思うが……そんな気持ちはせんか」
と杉山茂丸氏が水を向けた。
「ハハハ。人間
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