問題に就《つ》いても、ドエライ研究が行き届いているに違い無い事が、すぐに想像されるでしょう。
全くその通りなんです。しかも日本人なんかがイクラ想像したって追付《おいつ》かない位、メチャクチャな発達を遂げているのですが、その中でも亦《また》、特別|誂《あつら》えの天下無敵の話っていうのが、この崑崙茶の一件なのです。
先ず、支那の奥地の四川《しせん》省から雲南《うんなん》、貴州《きしゅう》へかけて住んでいる大富豪の中で、お茶の風味がよくわかって、茶器とか、茶室とかの趣味に凝《こ》り固まった人間が居るとしますかね。又は酒や、女や、阿片や、賭博なんかでも、あらゆる贅沢《ぜいたく》をし尽した道楽気の強い人間が、今度は一つ、お茶の趣味に深入りしてやろうと決心したとしますかね。いいですか。そこで何でも彼《か》でも良《い》いお茶良いお茶と金に飽《あ》かして、天井《てんじょう》知らずに珍奇なお茶を手に入れては、それを自慢にして会合を催したり、ピクニックを試みたりして行くうちには、キット崑崙茶を飲みたいというところまで、お茶熱が向上して来るのです。……むろん崑崙茶といったら、お茶仲間の評判の中心で、魅
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