狂人は笑う
夢野久作
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)可笑《おか》しい
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)特別|誂《あつら》えの
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#改ページ]
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青ネクタイ
「ホホホホホホホ……」
だって可笑《おか》しいじゃありませんか。
……妾《わたし》はねえ。失恋の結果世を儚《はか》なみて、何度も何度も自殺しかけたんですってさあ。
いいえ。妾は知らないの。そんな事をした記憶《おぼえ》はチットも無いのよ。初めっから失恋なんかしやしないわ。第一相手がわからないじゃないの……ねえ。可笑しいでしょう。ホホホホホホ……。
それあ変なのよ。女学校を出てからというもの毎日毎日お土蔵《くら》の二階の牢屋みたいな処に閉じ込められて、一足も外へ出ちゃいけないって云い渡されていたの。何故《なぜ》だかよくわからないけど……おまけに着物も何も取上げられちゃって、妾ほんとうに極《きま》りが悪かったわ。着物を引裂いて首を縊《くく》るからですってさあ。妾はもう情なくて情なくて………。
御飯を
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