起すと、利《き》き残った薬が身体《からだ》に害をする……そんなもんですかねえ。ヘエ……。
実は僕も崑崙茶の成分なんか知らないんですがね。イイエ。与太話なんかじゃありません。そのお茶に関するモノスゴイ話だけなら、ズット以前に何かの本で読んだ事があるんですが……僕はモトから支那の事を研究するのが好きでね。支那は昔から実に不思議な国ですからね。僕の憧憬《あこがれ》の国といってもいい位なんです。今度の卒業論文にも支那の降神術に関する文献の事を書いておいたんですが……。
ヘエ。貴女《あなた》も支那のお話がお好きですか。御祖父《おじい》さんが漢学者だったから……ああそうですか。それじゃ聞かして上げましょうとも。しかし、他の話なら兎《と》も角《かく》、崑崙茶の話だったら、その御祖父様から、最早《もはや》、トックの昔にお聞きになっているかも知れませんがね。有名な話ですから……ヘエ。全く御存じ無いんですか。妙ですね。それじゃ貴女が思い出されるかどうか話してみましょう。
しかしその支那人が眼を醒ましやしないでしょうか。ヘエ。明日《あす》の朝まで大丈夫。そうですか。それじゃお話しましょう。まあ腰をかけ
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