私の気もちが又いくらかずつかわって来たように思います。
今も申しましたようにその頃までは毎晩|家中《うちじゅう》寝静まられましてから、たった一人でお湯殿の鏡台の前に坐るのが、私の秘密の楽しみのようになっておりました。そうして毎夜毎夜そのような物思いをくり返しては、泣いたり笑ったりしないことは御座いませんでしたが、そのうちにフト鏡の中の私の顔の輪廓が、どことなく亡くなられたお母様にも似て来たのに気が付いてビックリすることが度々あるようになりました。それは前とちっとも変らぬ眼鼻立ちでありながら、心持ち面長になって、頤《あご》や、襟すじに、ほの白い青味がかって参りますと、お白粉《しろい》なぞはちっともつけないままに、そのあたりがお母様と生きうつしの恰好に見えて来るので御座いました。毎日毎日見るたんびに、それがハッキリとわかって参りまして、しまいには、あの犬塚信乃と阿古屋の眼鼻や唇をつけたお母様が、チャンと鏡の中に、御坐りになって私を見ておいでになるとしか思えない位になって参りました。
そのお母様のお姿は、又、奇妙にも、あのお父様からお斬られになるすこし前の、何ともいえない神々《こうごう》
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