お母様……私はこうして達者に生きております。……けれども……けれども私はこれからどうしたらいいのでしょうか。……ああお母さん……。というような気持ちを鏡の中の自分の顔に問いかけながら、涙を流したことも度々で御座いました。
そうかと思いますと……お笑いになるかも知れませんけど……そんなにして泣きましたあとで、嬉しいのか悲しいのかわからぬ空《から》っぽのような気もちになりますと、鏡の中の自分の顔をあの唇を噛みしめて刀を振り上げている勇ましい信乃の表情にしてみたり、琴を弾いている阿古屋の悩ましい姿にしてみたりして遊んでは、たった一人で気持ちよくホホと笑うことさえありました。そうして、それがお母様の世間に対する腹癒《はらい》せであるかのように思われまして「不義者の子」という名前が、何ともいえず気持ちよくさえ思われて来るので御座いました。
こんな事まで申上げて、失礼とは存じますけれどこれは私の十二の年から十四五歳になります間のことで、私が何となく、男の方の御親切を喜ばぬような性質になりましたのも、その頃の事ではなかったかと思われるので御座います。
けれども、そのうちに十四五にもなりますと、
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