、その相手によく似た子供を生んだり生ませたりすることが出来る――
 ……まあ、何というステキな子供らしい空想で御座いましょう。
 けれどもその時の私には、そのような事が本当にあり得なければならぬとしか思えないので御座いました。そうして、それから後《のち》の私は、そんな事実が本当にあることかどうかを、たしかめようと思いまして、毎日のように上野の図書館に行きました。むずかしい産科の書物や心理学の書物を何十冊ほどめくら探りに読みましたことでしょう。図書館の人はおおかた私が産婆の試験を受けているとでも思われたのでしょう。そんな書物の名前を色々教えて下さいましたので私は心から感謝しておりましたが、今から考えますと可笑《おか》しいような気も致します。
 けれども、そのような不思議なことを書いた書物はなかなか見当りませんでした。そればかりでなく、生れて初めていろいろな事を知りますたんびにビックリする事ばかりで、人中《ひとなか》でそんな書物を読んでいるのが気恥かしさに、図書館行きを止めようかと思った位で御座いましたが、そのうちに遺伝の事を書いた書物を何気なく読んでおりますと、私は又、ビックリすることを
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