なりかける心を叱り付けながら、未亡人の枕元に光っている銀色の鋏《はさみ》を取り上げた。それは新しいガーゼを巻き付けた眼鏡型の柄《え》の処から、薄っペラになった尖端《せんたん》まで一直線に、剣《つるぎ》のように細くなっている、非常に鋭利なものであったが、その鋏を二三度開いたり、閉じたりして切れ味を考えると間もなく、未亡人の胸に捲き付けた夥《おびただ》しい繃帯を、容赦なくブスブスと切り開いて、先ず右の方の大きな、まん丸い乳房を、青白い光線の下に曝《さら》し出した。
その雪のような乳房の表面には、今まで締め付けていた繃帯の痕跡《あと》が淡紅色の海草のようにダンダラになってヘバリ付いていたが、しかし、私は溜息をせずにはいられなかった。
この女性が、エロの殿堂のように唄われているのは、その比類の無い美貌のせいではなかった。又はその飽く事を知らぬ恋愛技巧のせいでもなかった。この女性が今までに、あらゆる異性の魂を吸い寄せ迷い込ませて来たエロの殿堂の神秘力は、その左右の乳房の間の、白い、なめらかな皮肌《ひふ》の上に在る……底知れぬ×××××と、浮き上るほどの××××××を、さり気なくほのめき輝かし
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