いので、トウトウ全身麻酔にしちゃったけど、それあ綺麗な肌だったのよ。手入れも届いているんでしょうけど……副院長さんが真白いお乳に、ズブリとメスを刺した時には、妾《わたし》、眼が眩《くら》むような思いをしたわよ、乳癌ぐらいの手術だったら、いつも平気で見ていたんだけど……美しい人はやっぱし得ね。同情されるから……」
「フ――ム、大したもんだな。ちっとも知らなかった。ウ――ム」
「アラ。唸《うな》っているわよこの人は……イヤアね。ホホホホホホ」
「唸りゃしないよ。感心しているんだ」
「だって手術を見もしないのにサア……」
「一体|幾歳《いくつ》なんだえその人は……」
「オホホホホホ。もう四十四五でしょうよ。だけどウッカリすると二十代ぐらいに見えそうよ。指の先までお化粧をしているから……」
「ヘエ――ッ。指の先まで……贅沢だな」
「贅沢じゃないわよ。上流の人はみんなそうよ。おまけに男妾《おとこめかけ》だの、若い燕《つばめ》だのがワンサ取り巻いているんですもの……」
「呆《あき》れたもんだナ。そんなのを連れて入院したんかい」
「……まさか……。そんな事が出来るもんですか。現在《いま》附き添ってい
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