頸筋の処を揺り動かした。それから髪毛の中に指を入れて二三箇所いじり廻した。そうしてその長い鬢《びん》の生え際を引き剥がすとそのまま、丸|卓子《テーブル》の上にうつむいて両手をかけて仮髪《かつら》を脱いだが、その下の護謨《ごむ》製の肉色をした鬘下《かつらした》も手早く一緒に引き剥いで、机の上に置いた。
その下の真物《ほんとう》の髪毛は青い程黒く波打ったまま撫で付けにしてあったが、同時に鬘下で釣り上げられていた眉、眼、頬はふっくりと丸くなって、無邪気な、可愛らしい横顔に変ってしまった。最後に女は巧みに貼り付けてあった眉毛を引き剥ぐと、顔を上げて真白に化粧を凝らした少年の顔を百燭の光りに曝《さら》した。
私は眼を剥いてその顔を睨み付けた。
魂がパンクする事を私は生れて初めて経験した。われと吾が肝の潰れる音を聞いた。
「……紫の……ハンカチ……」
という言葉が出かかって、そのまま咽喉《のど》にこびり付いてしまった。外に出たのはその口付きと呼吸《いき》だけであった。
少年はもう一度真赤になって微苦笑した。そうして今朝《けさ》の通りの凜々《りり》しい声を出した。
「あれはカルロ・ナイン殿
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