が、見る見る紫色になってしまった。
私は励声《れいせい》一番……、
「何者だ。名を云え」
と大喝した。
この時の女の驚き方は又意外であった。……はっ……と立ち竦《すく》んだまま眼をまん丸にして、私の顔を穴のあく程見たが、返事が咽喉《のど》に詰まって出ないらしく、只呆れに呆れている体《てい》であった。
私はこの時初めて女の顔を真正面から十分に見る事が出来た。百燭の光明に真向きに照らし出された顔は、よく見れば見る程、又とない美しさであった。ことにその稍《やや》釣り気味になった眼元の清《すず》しさ……正に日本少女の生《き》ッ粋《すい》のきりりとした精神美を遺憾なく発揮した美しさであった。私は一瞬間恍惚とならざるを得なかった。けれども直ぐに又気を取り直して、今度は確かな落ち着いた声で云い聞かせた。
「貴女《あなた》のなすった事は初めから残らず見ておりました。私はこの家の主人狭山九郎太です。……お名前を仰言《おっしゃ》い」
女は観念したようにうなだれた。私は手を離してやった。
女は痺れ痛む右手を抱えて撫《な》で擦《さす》りながら、暫くの間無言でいたが、忽ち両手をうしろに廻して、真白な
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