下から頂きました。藤波弁護士に父の遺言書を渡したという合図に使いました。日本政府の手でJ・I・Cが退治られなければ、僕等の手でやっつける覚悟だったんです」
私はもう驚く力がなくなったらしい。何だか急にがっかりしてしまって、ぶっ倒れそうな気だるさに襲われながらも、きょろきょろと左右の入口をかえり見た。
少年はその意味を覚ったらしく、直ぐに左側の扉《ドア》を開いて、首をくくった自分の死骸を片手で軽々と外して来た。それは紫の紐《ひも》で首を縛った空気入りの護謨《ごむ》人形で、少年が手品に使用したものを油絵具か何かで塗り直して扉《ドア》の上の框《かまち》に突込んだ白箸《しろばし》に引っかけたものらしかった。少年は、その白箸ごと抜いて来て、無気味な恰好の人形を私の眼の前にぶら下げて見せながら、玄関口の扉《ドア》に向って心安げに叫んだ。
「……志免さん……お母さん。もうよござんすよ」
声に応じて待ち構えていたように右手の扉《ドア》が開いた。左腕を繃帯と油紙で釣った志免警視が、白い歯を見せながら、短いサアベルをがちゃ付かせて這入って来た。そのあとから白襟の礼装のまま化粧だけ直した志村のぶ子が、
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