又も……ウウウ……と締め殺されるような声を出して背後によろめいた。襟《カラ》を引き除《の》け、ネクタイを引き千切《ちぎ》り、辷《すべ》りたおれようとして踏み止まりつつ、もう一度走り寄って、眼の前の物体を覗き込もうとした。夢中になって掴みかかるべく身を藻掻いた。
しかし……氏の眼にはもう何も見えないらしかった。
恐らくそれは氏の最後の努力であったろう……二三度虚空を掴みまわった。天に掻きのぼるかのように身を反《そ》らして爪立ち、又爪立った。そうして空間の何物かをしっかりと掴み締めたまま、次第次第にのけ反《ぞ》って行った。忽ち※[#「※」は「てへん+堂」、第4水準2−13−41、355−6]《どう》という大音響を室《へや》中にゆらめき起しつつ、椅子の向う側の壁の附け根に長くなった。
……あとには首のまわりに紫の紐を千切れる程喰い込ませた嬢次少年……今日の昼間に見た時の通りの扮装の美少年が、土色に透きとおったまま、入口の闇にぶら下って、きりりきりりと、ゆるやかに廻転し初めていた。
……室《へや》の中は旧《もと》の静寂にかえった。
……私の頭髪がざわざわざわざわと走り出しかけて又ぴっ
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