子に反《そ》り返って、両脚を投げ出して、ハンカチで顔を拭いて自分の前に坐っている女と、窓の外に立っている私を茫然たらしむべく、室《へや》中をゆすり動かして笑う笑い声であった。
「アッハッハッハッハッ……天国…………天国……天国へ行きました……アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」
 そう笑い続けているうちに気を取り直して、旧《もと》の通りの紳士に立ち帰ろうとして、眼の前の女の姿を見ると、又もたまらなさそうに笑いを押え付けるストーン氏であった。
「ええへ。ええへ。ああは。はは。ほほ。ふむ。ふむ。……御免なさい……ああはは。ほうほ。ふむ。ふむ。えっへ。御免なさい……私は……わ……わらい……ました。失礼しました。済みませんでした。私は貴女《あなた》が本当に欺されておいでになるから……笑いました。お気の毒でした。どうぞ……どうぞお許し下さい」
 やっと笑いを納めたストーン氏はハンカチでもう一度顔を拭きながら女を見た。しかし女は依然として淑《しと》やかな態度を保っていた。笑われれば笑わるるほど落ち着く性質の女であるかのように見えた。そうしてこの上もなく無邪気な眼付きでストーン氏のピカピカ光る
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