顔を見まもった。
「わたくし……欺されているのでございましょうか」
「ハ――イ」
と云いさしてストーン氏は又も笑いを押えるべくハンカチで口を拭いた。女は二三度大きく瞬《まばたき》をした。
「……どうして欺されているのでございましょうか」
こう尋ねられるとストーン氏は流石《さすが》に気の毒に堪えぬという態度になった。両脚を引っこめて、丸|卓子《テーブル》に身体《からだ》を凭《もた》せて、小学校の教員が児童を諭《さと》すような憐れみ深い、親切に充ち満ちた顔になった。
「あなたは、欺されていること、わかりませんか」
「はい……」
女は又も二三度|瞬《まばたき》をした。微笑がストーン氏の頬を横切って消え失せた。
「あなたはジョージのお母さんの名前を知っておりますか」
「はい。嬢次様から承わりました。志村のぶ子様とおっしゃるのでしょう」
「は――い。その志村のぶ子の所に行くとジョージは云いましたか」
「はい。そう仰言って貴方がお出でになる二十分ばかり前に、此家《ここ》をお出かけになりました」
微笑がもう一度ちらりとストーン氏の唇を掠め去った。
「ジョージはシムラ・ノブコの処へ行く事は出来
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