見て取った彼等は互いにハンカチを振り合って成功を祝した。……もしくは準備が整った事を知らせ合ったものに違いないのである。変装を凝らしている私を前後から挟んで……ここにその馬鹿が坐っているとばかりに……。
さもなければ私の「第六感」が、あの四皿の料理を、私の眼の前に並べて見せる筈がない。私が死と直面している事を暗示する筈がない。
何という戦慄すべき真相であろう。
何という想像を超越した計画であろう。
残るところはこの計画を立てたものが、ハドルスキーか、バード・ストーンか、ジョージ・クレイか……それとも二年前から日本内地に生き残っていたかも知れない、志村のぶ子か、樫尾初蔵か……という疑問である。その上にもう一つ慾を云えば、カルロ・ナイン嬢と、女優髷の女とが、呉井嬢次とどんな関係になっているか……という疑問も、頭の中に閃めかさない訳には行かない。
しかし、今の場合の私としては、そんな問題は末の末である。何でもかんでもあの女優髷の女を引っ捕えさえすればいいのだ。そうしてすこし違法ではあるが、無理にも志免課長の手に引渡して、有無を云わさず叩き上げさえすれば、一切の真相が判明する筈である
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