のを深く深く遺憾に存じている者でございます。
わたくしは包まず申上げます。
この一座の花形として、皆様から一方《ひとかた》ならぬ御贔屓《ごひいき》を賜わっておりました、あの伊太利《イタリー》少年のジョージ・クレイはどうした訳か存じませぬが今朝《けさ》から行方がわからない事に相成りました」
嬢がここで一寸息を切ると場内の処々《しょしょ》に軽い……けれども深い驚きの響きを籠めた囁きの声が、悲風のように起った……と思ううちに又ピタリと静まった。
「それで団員一同は八方に手を別けて探しているのでございますが、只今になりましてもやはり、その行方が判らないのでございます。……でございますから私共団員一同は、私共の不注意のために、折角皆様が楽しみにしておいでになりました、お眼当ての演技を、今日の番組から除かなければなりませぬのを深く深くお詫び申し上げなければなりませぬ。
申すまでもなく警察方面にもお願いして、出来るだけの事を尽して探しているのでございますから近いうちに皆様の御満足になるような結果を得られます事と、わたくし共は固く信じております次第でございます。……それで誠に失礼な、又は身勝手千万な致し方とは存じますが、せめて今日の不都合のお詫びの印と致したい心から、この次に御買求めになります切符の半額券を、お帰りの節に入口の処で差上げる事に致しておりますから、何卒御遠慮なくお持ち下さるようにお願い致します。
実は団長のバード・ストーンが自身に皆様にお詫びを致しまして、このような御挨拶を申上げなければ相済みませぬのでございますが、只今その事で、警察から横浜の方へ参っておりますから、不調法ではございますが、わたくしが代りまして、お詫びをさして頂く次第でございます。
かような訳で、わたくしども団員一同は、ジョージ少年が帰って参りますまで、全力を挙げまして新番組を色々差し加えまして皆様の御機嫌を取り結ぶ覚悟でございますから、何卒《どうぞ》わたくし共一同の佯《いつわ》りのない赤心《まごころ》をお酌み取り下さいまして、この上とも末永く御贔屓を賜わりますように、団員一同を代表致しまして、わたくしから幾重にもお願い申上る次第でございます」
それは僅か十五六の少女にしては立派過ぎた挨拶ぶりであった。多分ハドルスキーか何かが教えたものであろうが、それにしてもよくこれだけ整って記憶出来た
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