、私はもっともっと前から……ホントウの「大正十五年の十月二十日」以来、何度も何度も数限りなく、同じ夢遊状態を繰り返させられている事になるではないか……そうしてその一挙一動を記録に残されている事になるではないか………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
……オオ……若林博士こそ世にも恐ろしい学術の権化《ごんげ》なのだ。……精神科学の実験と、法医学の研究とを同時に行っている……。
……極悪人と名探偵とを兼ねている……。
……正木博士と、呉家の運命と、福岡県司法当局と、九大の名誉と……この事件に関する出来事の一切合財をタッタ一人で人知れず支配し、飜弄している……。
……そうして知らん顔をしている怪魔人…………。
[#ここで字下げ終わり]
 私は云い知れぬ戦慄が、全身の皮膚を暴風のように這いまわり、駆けめぐるのを感じ初めた。歯の一枚一枚がカチカチと打ち合うのを止める事が出来なくなった。……部屋の中の全体がどことなく、大きく開いた若林博士の口腔の恰好に似て来たように思いつつ……そのま
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