W兄 足下 │
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[#ここで字下げ終わり]
私の手から号外が力なくヒラヒラと辷《すべ》り落ちた。それと同時に室《へや》全体が、私の身体《からだ》と一緒にだんだんと地の底へ沈んで行くように感じた。
私はヨロヨロとよろめきながら立ち上った。吾《われ》ともなくヨチヨチと南側の窓に近付いた。
向うの屋根から突き出た二本の大煙突の上に満月がギラギラと冴え返っている。その下に照し出された狂人の解放治療場は闃寂《げきせき》として人影もなく、今朝《けさ》までは一面の白砂ばかりの平地に見えていたのが、今は処々に高く低く、枯れ草を生やした空地となって、そのまん中に、いつの間にか一枚も残らず葉を振い落した五六本の桐の木が、星の光りを仰ぎつつ妙な枝ぶりを躍らしている。
「……不思議だ……」
と独語《ひとりごと》を洩らしつつ頭に手を遣《や》って見ると……又も不思議……今朝から私が感じていた奇怪な頭の痛みは、どこを探しても撫でまわしてもない。拭いて取ったように消え失せていた。
私はその痛みの行衛《ゆくえ》を探すかのように、片手で頭
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