り多少精神に異状を呈しおりたるところ、本日又最愛の甥一郎が変死した噂が同地方に伝わっていたのを耳にしたために一層錯乱昂奮してこの始末に及んだものであろうと。

       ――――――――――――――――――――

 この号外から顔を上げた私は、頭を押え付けられたようになったまま、オズオズとそこいらを見まわした。
 すると間もなく、すぐ鼻の先に拡げられた青い風呂敷のまん中に、今まで号外の下になっていたらしい一枚のカードみたようなものが見つかった。……オヤ……まだこんなものが残っていたのか……と思い思い立ち上って覗き込んでみると、それは一枚の官製|端書《はがき》の裏面で見覚えのある右肩上りのペン字が、五六行ほど書きなぐってあった。
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│  面目無い              │
│                    │
│  S先生と酒を飲んだのも僕だ     │
│  生れかわって遣り直す        │ 
│  忰《せがれ》と嫁の将来を頼む         │
│     二十日午後一時    Mより │

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